「自宅の庭にプールを作ってみたい」「リゾート施設にプールを導入したい」——そんな方に向けて、この記事ではプール施工の流れと工法の違いについてわかりやすくご紹介していきます。
掘削から試運転までの各工程はもちろん、素材や設置環境に応じた工法の選び方も解説。初めてのプールづくりでも安心して取り組めるよう、具体的なポイントをまとめています。
プール施工の主な流れ
プール施工は大きく分けて掘削・基礎工事から始まり、躯体の構築、防水処理、水張り・試運転まで段階を追って進みます。それぞれの工程で求められる作業内容や注意点を、順を追って見ていきましょう。
STEP1:掘削と基礎づくり
最初に行うのはプール用地の掘削です。専用の重機を使い、設計図に沿って地面を掘り下げていきます。掘削範囲はプール本体より広めに確保し、工事作業や配管のスペースを確保します。掘削後の地面には砕石を敷き、しっかりと転圧して基礎を安定させます。
地盤の状態によって大規模な地盤改良が必要になることも。また、掘削した残土はトラックで運び出し、別途処分費がかかる場合もあるのでそれぞれ事前に確認しておくと安心です。
STEP2:躯体の構築とろ過装置の設置
次はプールの骨組みづくりです。コンクリート製の場合は型枠を組み立て、配筋を施してからコンクリートを流し込みます。パネル式の場合は、型枠の代わりとなるパネルを現場で組み立て、コンクリートを流し込みます。
この段階で、ろ過装置や循環ポンプ、照明や水中階段なども同時に設置します。ろ過装置はプールの大きさや使用人数を考慮して選定されるので、専門の業者に相談し計画することが大切です。また、照明や階段の位置はどのようにプールを使用するかあらかじめ想像し設計することで完成後の使いやすさが大きく変わります。
STEP3:コンクリート打設と養生期間
躯体の形が決まったら、次はコンクリート打設です。配筋で補強された型枠にコンクリートを流し込み、床と壁を一体化させます。コンクリートの打設方法には、一度に全体を仕上げる方法と、床・壁に分けて打設する方法があります。どちらも正確な施工が必要です。
コンクリートを流し終わったら、硬化を促すために養生期間を設けます。気温や湿度、コンクリートの種類や厚みにより様々ですが、養生期間は約1〜2週間ほどで、その間はブルーシートなどで覆い、風や直射日光、雨から守ります。寒冷地や梅雨時期には乾燥が遅れるため、日程には余裕をもたせておくと良いでしょう。
STEP4:配管・配線・笠石の仕上げ
プールの縁には、滑り止めや見た目のアクセントとなる笠石(コーピングストーン)を設置します。外観の美しさだけでなく、プール利用時の安全性も高める役割があります。
同時に、循環ポンプ・ろ過装置・排水管・吸水口などの配管工事を行い、必要な配線も引いていきます。照明やヒーターなどの電気設備は、防水性をしっかり確保することが大切です。またメンテナンスがしやすいように、機器類の位置を考慮して配置しましょう。
STEP5:プール内面に防水処理を施す
プール内面の防水処理は、長期間にわたり安心して使うための重要な工程です。防水工事には様々な種類がありますが、ここでは塗膜防水とシート防水について簡単にご紹介します。
塗膜防水とは、プールの内面に防水性のある塗料を塗る方法です。ウレタン防水やFRP防水が広く知られています。複雑な形状も施工しやすい反面、均一に塗るためには技術が必要です。シート防水とは、プールの内面にシート状の防水剤を貼ることにより防水を行う方法で、シンプルな工法であるため品質に差が出にくい半面、継ぎ目部分も隙間なく施工を行う必要があります。
STEP6:水張り・試運転で最終確認
すべての施工が終わったら、実際に水を張り、ポンプやろ過装置、照明などを作動して最終確認をします。水張り時には、防水シートや配管からの漏れがないかを丁寧にチェックします。ろ過装置や加温装置が正常に機能するか、照明が正しく点灯するかも細かく確認します。
もし不具合が見つかれば、この段階で修正対応します。必要があれば水質検査も行い、すべての安全性が確認できたら完成です。
施工期間はどれくらい?
プールの施工期間は、規模や工法、選ぶ素材によって変わります。全体の流れとしては、2週間から2カ月程度が目安です。FRP式やパネル式のプールであれば、設置から仕上げまで約10〜14日ほどで完了する場合もあります。
一方、コンクリート製の場合は、型枠の設置やコンクリートの養生に時間がかかるため、1カ月以上かかる場合が多いです。土地の条件や天候不順、追加設備の設置などによって工程が延びることもあるので、余裕をもったスケジュール設定をおすすめします。
施工方法の選択で仕上がりと工期に差が出る
プールの仕上がりや工期は、採用する工法によって大きく変わります。それぞれの特徴を理解して、自分の目的や設置場所に合うものを選ぶことが大切です。
鉄筋コンクリート製プールの特徴
鉄筋コンクリート製のプールは、自由なデザインや大きなサイズに対応できるのが強みであり、この在来式工法は競泳用プール建設時にも用いられます。建物や周囲の景観に合わせて設計しやすく、曲線や段差のある特殊なデザインも実現できます。スライダーなどの設備を取り付ける場合にも最適です。また、耐震性に優れているため、長期間安心して使うことができます。ひび割れのしにくい強固な構造とするため、施工の工程ごとに丁寧な管理が必要です。完成まで余裕をもった計画が求められます。
FRP式プールの特徴
FRP(繊維強化プラスチック)式のプールは、あらかじめ工場で成形されたパーツを現場で組み立てるため、施工期間が短く済みます。軽量なため、屋上への設置も比較的容易です。設置後すぐに使い始められるので、急ぎの案件やリフォームにも向いています。
ただし、一から造り上げるコンクリート製と比べてデザインの自由度はなく、サイズや形に制限がある場合も。耐久性やデザイン性も製品によって異なるため、事前によく比較することが大切です。長く快適に使うためには、経年劣化や変色に備えて定期的なメンテナンスも忘れずに行いましょう。
自立型躯体パネル+強化コンクリート
近年注目されているのが、自立型パネルとコンクリートを組み合わせたハイブリッド工法です。型枠となるパネルを組み上げることで施工スピードを高めつつ、在来工法よりもコンクリート使用量が少なくなるためコストを抑えることが可能です。直線・曲線どちらも自由に設計でき、断熱性や防水性にも優れています。
屋内外を問わず幅広く活用でき、従来のコンクリート施工に比べて工期を短縮できる点がメリットです。施工の効率と耐久性を両立させたい方には、この工法がぴったりです。
設計だけじゃない、施工まで見据えた選択を
プールの施工は、計画から完成まで多くの工程がありますが、一つひとつのステップを理解しておくことで安心して進められます。掘削や基礎工事、コンクリートの打設、防水処理などは、すべてプールの耐久性と快適性を左右する大切な作業。
また、施工方法によって工期やデザインの自由度が変わるため、設置場所や使い方に応じて選ぶことがポイントです。まずは信頼できる業者と相談しながら、ご自身にとって心地よいプール空間を形にしてみてください。設置後の維持やメンテナンスも含めて考えることで、長く楽しめるプールライフが実現します。
プールサイドの快適性をさらに高めたい場合、屋外ソーラーシャワーの設置もおすすめです。太陽光で水を温めるため、電源工事が不要な製品も多く、手軽に設置できるのが魅力です。機能性とデザイン性を両立させた「アルケマデザイン」の屋外ソーラーシャワーは、プールサイドの価値をさらに高める選択肢の一つとなるはずです。
製品の詳細については、以下のページをご覧ください。