暑い季節でも愛犬が快適に過ごせる環境をつくりたい。そんな時にはドックプールがぴったりです。ドッグプール施設へ出かけたり、ペット向けのビニールプールなど簡易的なものをご家庭で使用したりと愛犬たちとプールを楽しむ方法は様々です。

本記事では、自宅や施設に本格的なドッグプール導入を検討している方に向けて、サイズ設定や出入り口の工夫、水質や温度の管理、防水素材の選び方など、基本的なポイントをまとめました。計画前にぜひチェックしてみてください。

 

まず押さえたい!ドッグプール設計の基本条件

ドッグプールの設計で最初に考えるべきなのは「水深」と「広さ」です。用途や利用犬種、頭数を最初に決めておくと、その後の設計もスムーズに進みます。

愛犬のサイズに合わせた水深設定がカギ

犬の安全と快適さのために、水深設定は特に重要です。参考までに、犬のサイズごとの水深の目安をまとめました。

・小型犬:5~20cm程度

・中型~大型犬:30~60cm

・飼い主も入る場合:70cm以上

上記はあくまで目安となりますので、安全に遊べるよう時には専門家へ相談をしながら慎重に検討してください。

浅いエリアとやや深いエリアを設けることで幅広い犬種に対応することができるでしょう。また、泳ぐことが目的の場合は、足がつかない深さも一部に設けておくことも一案です。

広さにも余裕を持たせて

ドッグプールの広さも快適さを左右する要因です。ボールを追いかけて飛び込んだり、泳ぎながら方向転換したりといった動きを考えると、十分なスペースが必要となります。

大型犬の場合、壁にぶつかることなくスムーズに方向転換できるよう、幅は最低でも2m以上あるとよいとされます。小型犬専用なら1m幅でも十分に対応できますが、複数の犬が同時に利用する場合は、ぶつからないようプールの全長に余裕を持たせるなどの混雑を避ける工夫が重要です。

ドッグラン施設やペットホテルなどにおいて、計画できる広さが限られる場合は無理に大きくせず、犬のサイズや頭数によって利用時間を区切るなど運用方法で調整することも考えましょう。大きなプールは魅力ですが、そのぶん水の入れ替えや掃除の手間も増えるため、管理のしやすさとのバランスも意識することが大切です。

 

安心して出入りできるスロープや階段の設置

出入り口の設計も、愛犬が快適かつ安全にプールを使うための重要なポイントです。特に高齢犬や関節が弱い犬にとっては、設計次第でプールの利用そのものが難しくなることもあるため注意が必要です。

スロープ設計で負担を軽減

関節に負担をかけず、安心して出入りできるのが、傾斜の緩やかなスロープです。徐々に深くなっていく設計なら、初めてのプールも恐怖心を抑えて利用できるため安心です。

スロープには滑り止め加工が施された素材を使うのが効果的です。コンクリートなら滑り止め加工を施したり、FRP(繊維強化プラスチック)なら砂を混ぜて足元をザラザラにしたり、ゴムマットを敷いたりして、濡れた足でも滑りにくくなる工夫をしましょう。

大型犬が使う場合はスロープの幅を確保すると、余裕を持って出入りできます。プール内スロープの角度や長さについては専門業者へ相談をしながら、構造的な不具合が無いように計画を進めましょう。

スペースが限られるなら階段も選択肢に

設置スペースに余裕がない場合には、段差の高さを抑えた階段も有効です。犬用の階段は一段の高さ(蹴上げ)を10cm以下、奥行き(踏面)は30cmほどで計画すると小型犬でも楽に上がることができます。

スロープと階段を併用する設計も親切です。愛犬が体調や好みに合わせて出入り口を選ぶことができるので、ストレスや事故のリスクも減らせます。

 

水質管理が長く使い続けるためのカギ

犬の毛や皮脂、土などで水質が悪化しやすくなるため、ろ過装置と定期メンテナンスは不可欠です。安全、清潔に使い続けるために、ドッグプールは人間用のプールよりもこまめに清掃を心がけることが大切です。犬は皮膚も敏感なため、消毒用薬剤の使いすぎにも注意し、適切な量を使用しましょう。

毛詰まり対策も含めたろ過機選びを

  プールに設置されるろ過装置には様々なタイプがありますが、以下に3つご紹介します。

・砂ろ過式 :砂の粒子で水中の汚れをろ過するシステムです。比較的メンテナンスの頻度が低いのが特徴で、大規模な施設でよく採用されています。

・カートリッジ式 :フィルターの掃除がしやすく、取り外しも簡単なため、家庭用や小規模なプールに適しています。

・珪藻土(けいそうど)式 :微細な汚れまでしっかりとキャッチできるため、特に高度なろ過性能が求められる場合におすすめです。

毛詰まりを防ぐには、フィルターの前にネットや専用の袋を設置するとより効果的です。

 

シート防水の強度にも注目

プールの表面は犬の爪による引っかきや飛び込みの際のダメージを受けやすい場所です。シート防水を施したドッグプールでは特に、その防水素材の耐久性に気を配る必要があります。

遊びだけでなくリハビリ目的で使う場合も含めて、素材選びは慎重に行いましょう。複数の犬が同時に利用すると摩耗が早まるため、長期利用を前提にした素材が求められます。

耐久性と弾力性を兼ね備えた素材が理想

防水シートには、耐久性と弾力性の両方を兼ね備えた多層構造のPVCシートや、ポリエステルの補強材が入ったシートなどが使われることが多いです。

防水シートの下には薄いスポンジやジオテキスタイルなどのクッション材を敷くことで、地面からの突き刺しや衝撃を和らげる効果が期待できます。特にスロープの付け根や階段の角、壁際などの破損しやすい場所には、シートを二重にするなどの補強も有効です。素材を選ぶ際には、滑りにくさも必ずチェックしましょう。足元が安定することで、犬が安心して遊べる環境をつくることができます。

また、定期的にシートの状態を点検し、必要に応じて修理や修繕を行うことで長期にわたってドッグプールを楽しむことができるでしょう。

 

水温管理でより快適な環境を

プールの水温は、犬の健康に直結します。真夏には水温が30度を超えることもあり、その中で遊び続けることは犬にとってはかえって負担になってしまうことがあります。特に直射日光の当たる場所や地面からの熱で水がぬるくなりやすいため、温度管理の工夫が重要です。

小型犬やシニア犬は体温調節が苦手なので、水温の変化が体に大きな負担となることもあります。水温は25度から30度程度が快適とされています。

屋外シャワーの活用で、愛犬の体をケア

真夏にプールの水温が上がりすぎてしまった場合、無理に遊ばせるのは愛犬の体に負担をかけかねません。そんな時に役立つのが、プールサイドに設置する屋外シャワーです。

ぬるくなったプールに入る前にさっと浴びせることで、愛犬の体をクールダウンさせ、熱中症のリスクを軽減できます。また、プールから上がった後に塩素や汚れをすぐに洗い流せるため、皮膚の健康維持にも繋がるでしょう。一台あるだけで、愛犬にとってより安全で快適な水遊びの環境を整えることができます。

機能性とデザイン性を両立させた「アルケマデザイン」の屋外ソーラーシャワーは、プールサイドの価値をさらに高める選択肢の一つとなるはずです。製品の詳細については、以下のページをご覧ください。

 

ドッグプールの設計が愛犬の安全と楽しさを左右する

ドッグプールの設計において、犬のサイズに合わせた水深や広さを確保することはもちろん、出入りのしやすさ、水質の維持、床材の耐久性、水温の調整など、細かい配慮が快適な環境づくりにつながります。

特に犬は人と違って体温調節が苦手だったり、毛が抜けやすかったりするため、人間用のプールと同じ基準で設計してしまうと、不便や危険につながる可能性も。そのため、犬にとって「入りやすく」「遊びやすく」「安全に利用できる」構造になっているかを設計段階から意識することが大切です。

どんなプールにするか迷ったら、まずは愛犬の性格や健康状態、利用頻度に合わせて、必要な機能を挙げていくことからはじめてみてください。