庭にプールを設けることは、決して特別なことではありません。ただし、プールだけを単体で設置してしまうと、見た目や使い勝手に物足りなさを感じることも。だからこそ、住宅との調和やまわりのエクステリアも含めて一体的に設計することが重要です。この記事では、デザインの考え方や注意点、設置まわりのアイデアを交えながら、失敗しないプールづくりのポイントをご紹介していきます。

 

デザインは住宅との調和を意識して

 理想的なプールづくりには、プールそのもののデザインだけでなく、住宅全体とのバランスを意識することが欠かせません。家の外壁や屋根、窓サッシの色に合わせて、プール内のタイルやシートの柄、プールサイドの素材を選ぶことで、違和感のない美しい仕上がりが期待できます。

また、リビングやダイニングからプールをどの角度で眺めるのが良いかを考えて配置を決めると、家の中からも屋外の景色を楽しめるようになります。屋内と屋外をなめらかにつなぐために、リビングの床とプールサイドの高さを揃えたり、大きな窓や開口部を設けたりするのもおすすめです。

モダンスタイルには直線的なラインを

現代的な住宅には、直線的でシンプルな形状のプールがよく似合います。長方形や正方形など、無駄を削ぎ落としたフォルムは、クールで洗練された印象を与えます。タイルは白やグレーなどの無彩色を選ぶと、空間全体がすっきりとまとまり、青い水面がより美しく映えます。

また、プールを囲うフェンスにガラスや金属を用いると、シャープな印象を際立たせつつ、視線を遮ることなく安全性も確保できます。植栽も直線的に配置し、シンプルなシンボルツリーをポイントにすることで、ミニマルな美しさを演出できるでしょう。

リゾート感を求めるなら曲線や天然素材を

非日常的なリゾート気分を味わいたい場合は、柔らかな曲線や自然素材を活用したデザインが適しています。オーバル型や波型など、角を丸めたプールは、空間にやさしさとリラックス感をもたらします。プールサイドにウッドデッキや天然石を使い、南国風の植物やヤシの木を配置すると、庭が一気にリゾートの雰囲気になります。

また、パーゴラやオーニング(日よけ)、ハンモックやソファを置くことで、長時間快適に過ごせるくつろぎ空間がつくれます。壁から流れる水や、風に揺れる葉音も、五感で楽しめるリゾート体験のアクセントになります。

 

設計における注意点とチェックポイント

自宅プールを長く快適に楽しむには、デザインだけでなく実用面にも目を向けることが重要です。ここからは、設計時に気をつけたい具体的なポイントを紹介します。

プライバシーの確保

自宅プールで本当のくつろぎを得るためには、外部からの視線を上手に遮る工夫が欠かせません。道路や隣家に面した側には高めのフェンスやデザインウォールを設けると、圧迫感を出さずに視線を遮ることができます。

植栽による目隠しも効果的で、常緑樹や生垣を活用すれば、やわらかい雰囲気でプライバシーを守れます。また、パーゴラなどを使って、心理的にも囲まれている感覚を演出するのも良い方法です。夜間の視線対策としては、照明の配置や明るさを工夫し、外部からの見えにくさを高めましょう。

維持管理も事前に計画を

美しいプールを維持するためには、日々のメンテナンスも計画的に行うことが大切です。ろ過装置は、メンテナンスしやすい場所に配置すると、フィルター清掃などがスムーズです。樹木はプールの真横を避けて植えると、落ち葉の掃除がラクになります。

タイルの目地や床材については、すべりにくさや汚れにくさを重視し、清掃のしやすさも確認しておくと安心です。最近では、自動掃除ロボットや自動水質管理装置など、手間を減らすための便利な設備も増えているので、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

安全性を意識した設計

家族全員が安心して使えるプールを目指すには、安全対策も万全にしておきたいところです。小さなお子さんがいる場合は、水が浅い場所と深い場所を分けて設計したり、プールの縁にはすべりにくい素材を使ったりすると良いでしょう。

また、夜間の安全を考えて足元を照らす照明を設けると、つまずきや転倒を防げます。出入り口の段差を減らし、フラットな床にすることで、小さな子どもや高齢の方でも安心して使えます。
さらに、フェンスやプールカバー、アラームなどを複数組み合わせて安全性を高める「重ねた対策」も効果的です。

 

おすすめの周辺設備とアイデア

プールの使い勝手や快適さは、周辺設備やアイデア次第で大きく変わります。ここでは、設置しておくと便利なアイテムや工夫をいくつか紹介します。

ウッドデッキやタイルテラスの設置

プールサイドにウッドデッキやタイルテラスを設けると、プールまわりの使い勝手が格段にアップします。

素足で歩くことを考え、熱くなりにくく、滑りにくい素材を選ぶのがポイントです。デッキの高さをプールと揃えると、バリアフリーで安全性も高くなります。家具を置いて読書や食事を楽しんだり、家族や友人と過ごしたり、多目的に活用できる場所となるでしょう。

屋外シャワーの設置で快適な動線を確保

プールサイドに屋外シャワーを設けることで、プールで遊んだ後すぐに汗や塩素を洗い流すことができ、清潔な状態を保ちやすくなります。

建物やプールエリアの出入り口付近に設置しておくと移動もスムーズです。寒い季節にも快適に使える温水タイプを導入することや、足元に排水溝や砂利、排水パンを設けて水が溜まらないようにする工夫も快適性を上げるためには大切です。最近はデザイン性の高いシャワーも多く、庭の景観に合わせて選ぶこともできます。

エコ素材とスタイリッシュなデザインを融合させた屋外ソーラーシャワーを手がける「アルケマデザイン」は、機能性と景観性を兼ね備えた製品で、プールサイドの空間をより快適に演出してくれます。

詳細は、以下のページをご覧ください。

 

プールは“空間全体”の設計で心地よさが決まる

自宅の庭にプールを設置する際は、まわりの環境や住宅とのつながりまで意識することが大切です。テラスや照明、目隠し、植栽などを取り入れて、ひとつの統一された空間として仕上げることで、日常がより豊かに、心地よいものへと変化します。

設計段階から生活動線やメンテナンス、将来の使い方まで見越して計画することで、長く愛せる庭空間に。プールは住まいの中で特別な存在だからこそ、全体のバランスを見ながら、丁寧にかたちにしていきたいところです。